図面もプランも、まだ何ひとつ出していない。それどころか、土地さえ決まっていない。それでも施主のNさんは、初回の面談で、ある建築家に依頼することを決めた。それは住宅の性能と将来の暮らしまでを見据えた家づくりに定評のある、TAWs DESIGNの田辺さん。田辺さんはその期待に、桜の借景、45度振った塔屋、将来の賃貸転用まで盛り込んで応えた。Nさんの想像を超えた家づくりに迫る。
人と空間が自然環境と交感し、心身共に幸福感で満たされること。日々の生活の営みが、豊かなつながりを育む場になること。伝統や文化を現代のライフスタイルで解釈しながら、ここにしかない価値を創出し、豊かな暮らしへ繋がる場をデザインしたいと考えています。
建築家の詳細
東側の校庭から見たN邸。手前に立つのが、借景として取り込んだ桜の木。1階の窓が高い位置にあることも見て取れる
南側からの外観。左右で高さを変え、東側の1階を出窓のように前へ出す。斜線制限と階高から生まれる背の高さを、屋根と軒の操作で和らげ2つの家が重なったような佇まい
薄いグレーの左官仕上げの外壁に、ガルバリウム鋼板の屋根。屋根に載る塔屋は、2階に陽が入らないという問題を解くために生まれた。平面から45度振った高窓が南の光を取り込み、開け放てば重力換気で熱が抜けていく
玄関には同じ扉が2つ並ぶ。右が1階、左が2階への入口。それぞれの住まいが、外から独立している
玄関を入ると、世帯間を行き来するための木製扉が。将来この枠を外して壁にすれば、この家は長屋として成立し、賃貸住宅とすることができる
1階の玄関のホールにある手洗いカウンター。外出から帰ってきてすぐに手を洗いたいという、奥様のリクエストで生まれた
ダイニング部分は天井を少し下げ、杉板を張って間接照明を仕込んだ。落ち着いて食事のできる、こもり感のある場所になっている。窓辺には造作の収納も
1階はWIC、洗面、バスルームが一直線上に。洗濯の効率も考えた動線。上下階で部屋の種別を揃えることも、独立した2つの住まいを成り立たせる工夫のひとつ
2階のキッチン。リビング中央の塔屋の吹き抜けが大きな存在感を示している
塔屋は天井を現しに。平面から45度振ることで、南からの光を効果的に取り込んでいる。窓は南と北の2ヶ所にあり、リモコンで開閉でき、重力換気できるという
2階のLDK。塔屋の吹き抜けが2層分の高さをつくり、1階とは違った開放感が生まれた。入ってくる光は白壁に反射し、部屋全体を明るく照らす
2階も東側の窓から桜の木が見える。壁に沿って並ぶ造作収納はキャスター付き。プリンターやシュレッダーが電源をつないだまま収まっている。使うときだけ手元に引き出し、終われば押し込んで扉を閉じる
人と空間が自然環境と交感し、心身共に幸福感で満たされること。日々の生活の営みが、豊かなつながりを育む場になること。伝統や文化を現代のライフスタイルで解釈しながら、ここにしかない価値を創出し、豊かな暮らしへ繋がる場をデザインしたいと考えています。
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