千葉県を拠点に、敷地の特性や住まう方の本質的な願いに寄り添った設計を手掛ける細谷悠太建築設計事務所。代表の細谷さんが導き出したのは、日本の伝統的な知恵でありながら、現代の暮らしに新しい開放感をもたらす「通り土間」を中心とした平屋の住まいだった。
この建築家に
建物ファサード(南側)。道路が行き止まりのため車の往来が少なく、落ち着いた環境。建物背後は鉄道が走り、高い位置にある線路の斜面が緑の借景となる。東西棟と通り土間の高さを変えることで、軽やかなリズムが生まれている
通り土間を中心に、寝室・水廻り棟とリビング棟を東西に配置したシンメトリーな構成。通り土間は外と内を緩やかにつなぐバッファとなり、東西棟を分ける“あいまいな空間”にもなっている
東棟を接する道路からセットバックし、施主の希望どおり駐車スペースを2台分確保。両隣の敷地には将来的に3階建てのアパートが建つことも予想されるため、東西の開口は少なくし、南北側に大きな開口を設けた
外壁はコストを抑えるため窯業系のサイディングを採用。サイディングの見切りを東西棟で揃え、建物全体に統一感を持たせている。西棟の前には植栽スペースを設け、程よい目隠しとして機能。細谷さんの予想通り、竣工後、両隣はアパートとなった
リビング内観。天井高は約3.4m。右側の開口部の向こう側が通り土間となっている。その開口部と一直線上にキッチンの小窓を設けることで、視線が外にも広がる。キッチンは既製、収納棚は食器や調理器具などに合わせて造作した。床はチェリー材、壁はクロス仕上げ
リビング南面へ向けて。北側開口と同一線上に高さを合わせた同サイズのサッシを設け、視線の広がりを確保。LDKの広さは約13畳。LDKの南側にユーティリティスペースとなる土間の空間もある
LDKから続く土間空間。外部とLDKのバッファとしての役割も果たす。将来的に店舗として利用することも想定されているため、給排水の配管設備を備えている。左側の引き戸の向こうに、通り土間、寝室棟が続く
光を土間に取り込めるよう、玄関の上にはフィックス窓をはめた。ガラスの玄関とフィックス窓を通して昼間の陽光が土間に差し込み、美しい陰影をつくり出している。これも細谷さんの狙い通りだ。通り土間の壁は外壁と同じ窯業系サイディングを採用。外と内に一体感が生まれる
玄関側から北側へ通り土間を見る。玄関ドアと、対になる北側のドアをどちらもガラス戸にすることで視線が遮られることなく、内側の空間以上の広がりを感じられる。北側ドアの外には小さな庭が設けられ、施主はBBQなどをして楽しんでいるとか
寝室スペース。通り土間側に出入口が2つ。現在はひとつの空間だが、将来的に壁で仕切り2つの部屋に分けることも可能だ。LDKより天井を下げ、落ち着いた空間になっている。右手からの光は、実は電車に反射した光。この光は、細谷さんも想像しなかったという








