三重県にある歯科医院。約40年前に建てられた建物は堂々とした佇まいで、地域のシンボルとなっていた。一方で時代が変わり、バリアフリー化や資料の収納量を増やす必要が出てきた。診察を続けつつこの課題を解決するために取られた手法が、“増築”だ。工期や予算を満たし、環境に優しいそのメリットをご紹介しよう。
この建築家に
上空から。増築部は写真手前の細長い部分。既存部は駐車場も含めてほとんど変更していない。増築部は最低限の規模で、最大の効果を求めた。診察を続けながら増築工事をし、連休中に既存部のリフォームを実施。スケジュールやコスト面でも考えつくされたプランであることがわかる
道路と敷地の形状にあわせ、自然な形で配置された増築部。曲線や勾配がある近隣道路の特徴を、そのまま取り込んだ。無理やり造形しているわけではない。写真右奥には新設したスロープが見える。駐車場後ろのスペースを有効活用し、駐車台数を減らしていない点に工夫の跡が見られる
側面に配されたガラスの曲面が美しい。増築部の内壁や階段、待合室部分もよく見え、室内外が一体化している
増築部は入り口側に受付カウンター、ガラス側に待合室の椅子、奥にキッズスペースが配置されている
造作の本棚。背板をあえて作らず、奥にビシャン仕上げの壁が見えるように設計された。色は既存建物に使用されていた濃い茶色に合わせ、時代の連続性を表現。もちろん幅広の階段にぴったり合うサイズとなっている
待合室から診察エリアの出入り口は、車椅子も楽に通れる広さを確保。引き戸ができる限り大きく開くように、オリジナルの取手を考案した。一般的な取手だと完全に開けられないが、この取手だとほぼ完全に開くことができる。病院らしさを排除する、デザイン面での狙いもあった
緩やかなスロープや増築部の緩やかな段差とあわせ、入り口の階段部もかなり緩やかなものとした。外と中の連続性を持たせた意匠だ。歩行する際の安定性や安心感、緩やかな表情を入り口に持たせる意図もある
外観。敷地の角まで増築部があるため、受け壁もガラスとした。写真左の道から来た車が写真右側へ左折する際、人や車の交通状況がわかるようにと配慮した結果だ。全面ガラスの側面との連続性をあわせ持つ、違和感のないデザインとなっている
既存建物の窓を取り外し、受付のカウンターとして活用。ちょうど良い高さと幅を確保できた。以前は外にあふれ出していた多くの書類を、すべて受付内のエリアに収納することができるようになった
構造:鉄骨造(増築部) / RC造(既存部)
間取:待合室+キッズルーム(増築部) / 診察室+カウンセリングルーム+受付+トイレ(既存部)








