海を望む敷地に浮かび上がった、海側隣地の建設計画という難題。壁で視界を守れば、非日常感は損なわれてしまう。Sデザインファームの鹿内健さんが導き出したのは、壁を伝って海の水がプールへ流れ込む「逆インフィニティプール」という発想だった。実現の裏には、レベル差わずか1ミリにもこだわった手仕事があったという。困難な条件を武器に替え、ここにしかない非日常空間となった沖縄・瀬底島の一棟に迫る。
この建築家に
車を走らせ、たどり着く先に現れるのは、無機質なコンクリートの建物。一見しただけでは、これが宿泊施設だとは気づかないかもしれない。
窓のない、まるで一つの器のような造形。ライトアップに浮かび上がる姿は、星空の下でひときわ幻想的だ。
目の前に飛び込んでくる青く輝くプール。その先には海と空の青が広がり、まるで遠くの波が、そのままこの別荘のプールへとなだれ込んでくるかのような連続感。
引き戸を開け放つと、リビングとプールの境界が消える。内と外が一体となった、開放的な空間が広がる。
外観の特徴ともなっている屋根は、海とプールに向かって下げられている。視線をぐっと景色へ絞り込む設計。開放感を優先しがちな別荘建築において、あえての一手だといえる。
インテリアデザイナーとともに選んだ家具は、デザインと価格を絶妙なバランスでまとめた。ホテル運用時の盗難や損傷のリスクも見据えた、実務的な配慮が息づいている
夜になると、ライトアップされたプールが幻想的な表情に変わる。室内にいながら、満天の星空も一緒に楽しめる。
「プールは人がつくったものだけど、朝日は自然からのギフト」と鹿内さんは語る。見られるかどうかは天候次第、だからこそ特別な瞬間になる。
プールは奥行き5メートル、深さ1.1メートル。壁面には、インドネシア産の天然石「バリグリーン」を一枚一枚手作業で貼った。水に濡れると美しい緑色に変化するのが特徴だ。
手前の丸い浴槽は、お湯を張れば温まれる屋外バスタブに。奥のベンチは、斜壁に沿うように配された石造り。水音を聞きながら、ゆったりと寛げる。








