愛知県刈谷市にユニークな作品が誕生した。資材置き場とオフィス、そして近隣の人々や従業員が集い、災害時には避難場所にもなる多目的用途の建物。いわば大きな“小屋”とも言える。今回この作品をご紹介するのは、趣味や仕事など使用目的が明確な“小屋”の利点をお伝えしたいからだ。その魅力をご紹介しよう。
この建築家に
中央のくつろぎスペース、奥にあるオフィス、周囲に棚を配置した資材置き場。複数の目的を同時に実現した大きな“小屋”だ。使用目的が明確なので、使いやすく便利な空間を作り上げることができる ©新建築社
構造としての柱が棚を渡すための柱にもなっている。高さを自由に設定できるのが便利で好評だという ©新建築社
建物は直角で構成される直方体ではなく、上から見ても横から見ても変形している。入口シャッター側もせり出しており、壁面は斜めに。これは庇を作らず、雨の日でも濡れないようにするための工夫だ
高さがある電動シャッター。現場へ行く車の高さを気にすることなく、楽にシャッターを開けられるというスタッフへの配慮だ。テーブルを出して中でくつろぐ時には、高さがあるので外の空や緑、竹林を楽しむこともできる
前面道路側から見た外観。建物が斜めにせり出し、雨よけになっている様子がよくわかる。作業用のビニールシートを建物奥(写真左)で干すため、目隠しの効果もある。くつろぎタイムのための明かりとりが各所に配されていることも特徴のひとつだ
片流れの屋根は住居側(写真左奥)を低くした。住居側の圧迫感と日当たりを考慮したためだ。住居側にはその他にも小屋などがあるため、できるだけ存在感を少なくすることを考えた
透明の部分は明かりとりと緑を取り込むだけでなく、網目の構造材が入っているので地震にも強くなっている。一般的な建築物だと窓部分は構造上弱くなっていることが多いが、この作品は明かりとり部分が強くなっている
最低限必要なオフィスの広さを確保した残りの上部空間は、ロフトで自由に使える場所に
開口部が広い電動シャッターと、明かりとりを兼ねた透明部分から見える竹林。外の通りからの視線をカットしてくれるため、シャッターを全開にしてくつろぐこともできる
オフィス上部のロフトから見た光景。左側のシャッター奥に見えるのは車を転回させるための凸部。ここで車の向きを変えることができる。使用目的に従った設計であることがよくわかる
従来使っていたアパートの一室とは比較にならない収納力であることがわかる。躯体は50mm角の角パイプの組立柱とトラス梁
最高高さ:5322.6mm
設計監理:葛島隆之建築設計事務所 葛島隆之
構造設計:小松宏年構造設計事務所 小松宏