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家とはパーソナルな空間であると同時に、街を構成する一つの要素、社会的な存在でもある。街と互いを受け入れ合い、心地いい関係性を築きながら、歳月とともに風景に少しずつなじんでいく住宅。完成後も変化を続ける自邸について、辻林政憲建築設計事務所の辻林さんに語ってもらった。
建築家の詳細
都心に近く、美術館や劇場などさまざまな文化に触れやすい場所でありながら、下町の雰囲気が漂う街。お地蔵さんのいる祠が目の前にあるのも、この場所を気に入った理由だそう
玄関と道路に適切な距離をとり、お互いに警戒心が生まれないような造りに。室内は照明の光量を抑えているため、暗い窓からは中の様子が丸見えにならずプライバシーを保てる
道路の幅に対して面が広いと「壁」の印象が強まってなじみにくくなるため、屋根や壁を多面的に分割。軒先に設けたベンチでは、ご近所のおばあちゃんが休憩する心温まる光景も
玄関先に広がる土間のホワイエ。窓の上にお気に入りのアイテムを飾ることでテリトリーを広げていく感覚になるなど、モノを置ける「余白」が、家と自分の新たな関係性を構築してくれる
コンクリート打ち放しのようなニュアンスを意識し、壁の一部に木毛セメント板を採用。鏡面仕上げのステンレスパネルを重ね、空間に奥行を演出したのもこだわりだ
ホワイエからそのままダイニングにつながる大らかな間取り。リビング階段はダイニング側の手摺りを壁にすることで、外からの視線を遮る目隠しの役割を持たせている
ダイニングは天井高を低く抑え、土間のホワイエと差異をつけることでワンフロアの中に多様性を持たせた。その時々の気分で居場所を変えていける自由さが心地いい
土壁に包まれるイメージをもとに、天井と壁を柔らかなアールでつないだ意匠が印象的。窓の外側に垂れ壁を設け、開きすぎず閉じすぎずの絶妙なバランスを追求している
外壁全体をコンクリートにすると威圧感が出てしまうため、ガルバリウム張り、モルタルの掻き落としなど、さまざまな素材を組み合わせて「怖くない、楽しげな建築」をめざした
土壁に合わせてラワン合板とマホガニーを使用。「異なる素材を使いつつ見た目に違いが出すぎないよう気を配っています。ありのままを活かすため着色塗装はしないと決めています」と辻林さん
ラワン合板を用い、壁と違和感なくなじむ収納を各所に造作。柱も空間にとって異物にならないよう、ボリュームがありすぎず、丸みを帯びたデザインを採用した