一本のインスタDMから始まった家づくり。建築家・服部創史さんは徹底した対話から理想を捉え、土地購入のタイトな期限に間に合うよう、わずか2日で希望を収めたプランを提示した。世田谷の高低差を活かした3層住宅は、半地下がありながら、どこにいても光と風が心地よく行き渡る。一見無駄に見える「ごろんスペース」が日常を豊かに彩り、やさしく街に馴染む邸宅。施主に徹底して寄り添う、二人三脚の設計の軌跡をたどる。
この建築家に
ヨーロッパテイストを感じさせるW邸。新築でありながら、以前からそこにあったかのように周囲に馴染んでたたずんでいる
エントランスまでのアプローチには、丸いタイルを半円状に敷き詰めた
耐力壁を巧みに使ったポーチ。雨には濡れない空間でありながら、光や風は通る。外と内の境界をやわらかく仕切る半屋外の中間領域であり、自転車も雨や盗難の心配なく置いておける実に便利なスペースだ
緑のカラーに角丸の窓がかわいらしい玄関扉
上からの光が降り注ぐよう設計された空間には、ヨーロッパテイストを感じさせるクロスを貼った
玄関付近には、落ち着いた雰囲気の手洗い場を造作。エコカラットのタイルをあしらうことで、調湿効果も備えている
書斎。半地下空間は暗くなりがちだが、服部さんはポーチのスリット状の隙間から光を取り込めるよう設計。光がやさしく差し込む気持ちよい環境の中、集中して仕事に取り組める環境を実現
服部さんが空間説明のために作成した立体模型。Wさんは今も大事に書斎のデスクに飾っているという
廊下を進んだ先にはドライエリアを確保し、光や風を導くとともに、植栽を置いて庭のようなスペースを生み出している。限られた敷地の中で、外部空間との関係性を豊かにする工夫だ
洗面所はマンションの空地に面しており、朝の光を浴びながら気持ちよく身支度ができるよう配慮した
2階にある子ども部屋の1つ。どの部屋にも窓があり閉塞感はない
3階の階段付近。デッドスペースになりがちな場所に、本棚と小上がりの「ごろんスペース」を生み出した
Wさん家族が望んだ「ごろんと横になれる場所」を具現化した空間。床のフローリングは、波を打ったような名栗(なぐり)加工。裸足で踏みしめる感触、バルコニーからの光が織りなす美しい陰影が、とても気持ちの良い空間を創り出している
LDKへの廊下は、角を丸くしてやさしい雰囲気を演出した
LDKは最大天井高3mを誇る大空間。床のフローリングはヘリンボーン貼りにし、外壁のタイルとのデザイン的な一体感も演出した
キッチン壁面には、グリーンの織物クロスを貼ることで、落ち着きある空間に仕上げた。キッチン自体もクラシカルテイストのオーダーキッチンを採用し、取っ手の金具に至るまでこだわり抜いた
バルコニーと正面の大きな窓が一直線につながり、光と風が心地よく通り抜ける。まさにリクエスト通りの空間が形になっている








